近年テクノロジーの進化が私達の生活を大きく変化させました。

スマホの誕生によって、企業戦略の在り方や人々のライフスタイルは劇的に変化しています。また新たな企業やサービスが誕生し市場を席巻し始めました。

テクノロジーの進化ばかりに目が向いてしまいがちですが、それと同時に人々の価値観にも変化が起きています。

「お金を中心とする生き方・働き方」に価値を感じる人が少なくなってきているということです。

この流れは更に加速していくように思います。

人間の欲望・欲求を理解し紐解いていくことで、現在そして将来の人々の新しい価値観や生き方を予想できるヒントがあると思っています。

衝撃的な本との出会い

前述したように、若者の仕事に対するモチベーションの要因が一昔と比べ、大きく変化している話を目にする機会が増えました。

「出世・昇給・給料が良い」が昔は上位を占めていたのに対し、現代の若者はそれらの要因は下位を占めています。

そのことに対し一定は理解できるものの、その理由を完全に消化できない状態でした。

そんな時に株式会社メタップスの代表、佐藤航陽さん著書「お金2.0」に出会い、目から鱗が落ちました。

新しい経済のルールと生き方・人々の価値観の変化について分かりやすく言語化されており、私の胸の中のモヤモヤを取り除いてくれました。

本記事では「お金2.0」の内容を参考に話を進めていきます。

人間の欲望とは

欲望を起点に経済のネットワークが構築されています。当たり前の話ですが、欲望の無い人間なんて考えられません。

現代社会において欲望の種類は大きく分けて3種類あるとされています。

①本能的欲求②金銭欲求③承認欲求に区分されます。

①本能的欲求
生物が持つ根源的な欲求。衣食住の欲求、異性に対する欲求、家族への愛情などの欲求。

②金銭欲求
お金を稼ぎたいという欲求。

③承認欲求
社会や他人から認められたいという欲求。

本能的な欲求に比べて金銭欲求や承認欲求は歴史の浅い欲求です。

これらの欲望を前提に、生産活動がうまく回る仕組みを考えていくことが重要となります。

特に今後社会の中心を担っていくミレニアル世代は、③の承認欲求が高いと感じます。

ミレニアル世代の価値観

ミレニアル世代(1980年以降に生まれた人達)は生まれた時から、便利で不自由のない世の中で、当たり前のように育ってきています。

最低限の物資的な欲求は満たせられている状況です。

生活水準(1人あたりGDP)がまだ低い国であれば、家電製品を買いたい、美味しいものを食べたい、車が欲しいなど、シンプルに欲望を満たすための強烈な上昇志向があります。かつての高度経済成長期の日本のようにです。

団塊の世代から今の若者はハングリー精神がないと言われたりしますが、ある程度豊かになると人々の欲望の種類は変化していくのだと思います。

お金への執着心が低下している

高い給料、高級時計、高級車、高級ブランドに囲まれた生活、タワーマンションに住む、高級フレンチで食事するような生活に対し、憧れが全く無い訳ではありません。

「こんな生活送ってみたい?」の問いに対し、「送ってみたい」と答える人は結構いるんじゃないかと思います。

ここで重要なのは、金銭に対する欲望がない訳ではなく、それに対する強烈な執着心を持った若者が少ないということです。

生まれた時から恵まれた環境で育ってきたことが原因の一つだと考えられます。

若い世代にとって、欲望の中心は物質的なものではなく精神的なもの(承認欲求)に移ってきています。

持続的かつ自動的に発展するシステムの要素

持続的かつ自動的に発展する企業やサービスには5つの共通点があります。

特定の人が必死に動き回っていないと成り立たない仕組みでは長続きしません。「人が人を呼ぶ仕組み」が重要になります。

①インセンティブ
②リアルタイム
③不確実性
④ヒエラルキー
⑤コミュニケーション

①インセンティブ

報酬が明確であること。参加者に対して、何かしらの報酬や明確なメリットが用意されている。近代の特徴として社会的な欲望がこの報酬に当てはまります。儲けたい・モテたい・認められたいという欲望を満たせるかどうかが重要です。

②リアルタイム

時間によって状況が常に変化すること。環境が変化することで人間の活力は増します。逆に変化の無い環境下では、努力する必要性が低下するため活力は低下します。

③不確実性

誰もが将来を予測出来る世の中だったら、想像力を磨いたり、積極的に何かに取り組む意欲は湧いてきません。死ぬまでの結果が分かっていたら人生は面白くないはずです。

自らの意思と努力によってコントロールできる「実力」の要素と、全くコントロールできない「運」の要素が良いバランスで混ざっている仕組みが必要です。

④ヒエラルキー

秩序が可視化されていること。偏差値や順位のように数字で把握できるものや、身分や肩書きなどで表されるものなどです。

人間は他者との比較の中で自分が幸福か不幸か、優れているか劣っているかを判断する相対的な生き物です。

ヒエラルキーも変化する仕組みが必要で、それを取り入れることで新陳代謝を促すことに繋がります。

⑤コミュニケーション

参加者同士が交流する場があること。参加者同士が交流し、互いに助け合ったり、議論する場が存在することで、1つの共同体であることが認識できるようになります。

これらの5つの原理を取り入れて「組織マネジメント論」「プラットフォーム戦略」「コミュニティ戦略」は考えがまとめられています。

SNSは見事に設計されている

代表的なサービスはフェイスブック、インスタグラム、ツイッターのようなSNSです。

5要素とこれらのサービスを照らし合わせて下さい。見事に5要素すべてが取り入れらていることが分かります。

・「いいね」や「RT」
金銭ではなく「承認」を満たす装置。ユーザー間でやりとりされる「通貨」のような役割。          フォロワー数は貯金のように貯まっていく「資産」。

・タイムライン
リアルタイムで内容が変化し、見るたびに新しい情報が飛び込んでくる。

・拡散や炎上
投稿次第で何が起こるか予測が難しいという不確実性。「リスク」もある。

・「いいね数」「フォローワー数」
様々な指標が数字で可視化され他人と比較することが出来、業界や趣味ごとのヒエラルキーも明確になっている。

・チャットやリプライ
いつでもユーザー同士が相談しあったり議論したり出来る。

内面的な価値観が中心の時代へ

繰り返しになりますが、ミレニアル世代を中心に金銭欲求が薄れてきていて、お金を稼ぐことがモチベーションに繋がらなくなってきています。

一方で今まで直接的にお金と結びつけにくかった、共感・熱狂・好意・感謝のような内面的な価値に注目が集まっています。

テクノロジーが進化したことで、内面的な価値を可視化することが出来るようになったからです。

これからは共感・熱狂・好意・感謝のような内面的な価値はSNSを通じて爆発的な勢いで広まって生きます。

スマホを持って常時ネットに繋がっているのが当たり前の環境なので、人の内面的な価値が「情報」として一瞬にして伝播していく環境が出来ています。

多くのミレニアル世代は人生の意義を探しています。このような世界では内面的な欲望を満たす価値を提供できる人が成功しやすくなるでしょう。

最近の例ではユーチューバーやインスタグラマーやトークンエコノミーなどです。

お金を最優先にしていなくても、結果的にお金を手にする時代に変化してきているのです。

まとめ

テクノロジーの進化がもたらした新しいサービスや価値観の変化を、昔からの固定観念で凝り固まった人達が理解するのは難しいことだとは思います。

しかし、人間の持つ本質的欲求と新しい価値観を理解し変化しなくては、これから起業や組織マネジメントを成功に導くことは困難だと思います。

そして、新しい価値観と昔からの価値観の狭間で生きている人達は、一度立ち止まってこれらの要素を理解し、頭の中をクリアにすることから始めてみるべきです。

そこから今後の自分の人生の在り方と行動すべきことを再定義し直してみるといいでしょう。

「お金2.0」を手に取り、新しい考えに触れることをオススメします。

参考文献:お金2.0 新しい経済のルールと生き方