近年ハラスメントについて◯◯ハラといった、様々なケースとハラスメントを掛けた言葉が定義されています。

ハラスメントに対する世間の目は年々厳しくなってきており、社会問題となっています。

昔は社会や相手から許されていた言葉や行動も、時代の変化とともに許されないと判断されることが増えてきています。

どんなに成績が優秀な社員や優れた企業であっても社会から退場を迫られる世の中に変化しているのです。

ハラスメントとは

ハラスメントとは相手に対して行われる
「嫌がらせ」のことを指します。
ハラスメントは数十種類あると言われています。

職場におけるハラスメントの中でも
「パワハラ」「セクハラ」「マタハラ」は代表的なハラスメントです。

厚生労働省の調査によると、企業窓口への相談はパワハラが一番多くなっています。

厚生労働省が職場におけるパワハラの定義を下記のように定めています。

職場のパワーハラスメントとは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」

厚生労働省 職場のパワーハラスメントについて

この定義によって以下の2つのことを明確にしています。

・上司から部下に対するものに限られず、職務上の地位や人間関係といった「職場内での優位性」を背景にする行為が該当すること

・業務上必要な指示や注意・指導が行われている場合には該当せず、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当すること

パワハラ防止法

前述の通り、パワハラに対しての定義を明確にしているものの、パワハラに対する相談や事例は後を絶たないことに対して、先日大きな動きがありました。

パワハラを防止する措置を企業に義務づける関連法が成立

今回の法律ではパワハラを
「職場での優越的な関係を背景に、必要な範囲を超えた言動で就業環境を害する行為」
と定義しました。

大企業は2020年4月から防止措置を講じることが義務となります。

厚生労働省はパワハラを6つの類型に分けています。
過去の裁判例などを踏まえ、パワハラと認定されそうな言動例と併せて紹介します。

①暴行・障害
モノを投げつける、殴る蹴る

②脅迫・ひどい暴言など精神的な攻撃
「会社辞めろ」「無能」などの発言

③仲間外し・無視
強制的に自宅待機を命じる

④業務の過大要求
他の社員より明らかに多いかどうかが判断基準。先輩社員が後輩に他の社員の仕事を押しつけて、徹夜で働かせる行為。

⑤業務の過小要求
合理的な理由がないのに仕事をあたえずに放置する。営業職で採用したのに掃除や草むしりしか命じないといった行為。

⑥私的なことに過度に立ち入る
携帯電話なそ私物の覗き見など。

パワハラの件数は増加している

厚生労働省が2016年に実施した調査では、過去3年間にパワハラを受けたことがあると回答した従業員は33%でした。

この数字は4年前の調査から7ポイント上昇しています。

パワハラに対する対応を企業が怠ってきたわけではないのに、年々パワハラの件数が増えているのは何故でしょうか?

パワハラと指導の境界線

考えられる理由の一つに、パワハラと指導の境界線が曖昧だということが挙げられます。
一般的にその境界線は業務に必要かどうかです。

伝え方も重要です。いくら正当な主張を上司がしていたとしても、感情的な言い方や暴言であればパワハラだと受け止められます。

そしてシチュエーションも重要となります。

大勢の前で指導することで、本人への精神的なダメージが大きくなったり、周りの人に対しても不快な思いにさせます。

基本は場所を考えマンツーマンで指導することがベターです。

境界線が曖昧にならないよう、具体的なケースを年内中に政府が明示する予定となっています。

どんな処罰になるのか?

今回の法案成立によってパワハラ行為を行った社員だけでなく、これを放置した企業も賠償責任を問われる可能性があります。

またパワハラが常態化し行政指導を受けても改善がみられない企業は社名が公表されます。

これは社会からブラック企業の烙印を押されるのと同義だということです。

体育会系企業を待つ試練

営業を中心とする職場には体育会系の気質が残っています。体育会系企業は上下関係に厳しく、「根性論」「精神論」を好みます。

「新入社員や若手に対しては厳しく育てるべき」という風潮が根強く残っています。

基礎を固める大事な時期なのでしっかり指導するべきですが、間違った指導法を取る人間は、自分の新人時代と同じような指導が大事だと考えています。

今から10年前と比較すると、世の中の考え方や人間の考え方もガラリと変わっています。

それなのに「俺の時代はこうだったから、お前らもこうすべきだ」と理不尽な根性論を押しつけるのはナンセンスすぎます。

圧力によるマネージメント

これは若手の育成だけに限った話ではありません。

マネージャー層は特に色濃く残っており、具体的な指示を飛ばして根性論と精神論をかざし、成果だけを執拗に追求するマネジメントが見受けられます。

昔は猛烈に働き、根性論で指導すれば成果に繋がることが多かったのは事実ですが、現在の社会では根性論を中心とした仕事や育成法だけでは立ち行かなくなっています。

人間関係ができている!?

管理職などのマネジメント層が陥っている勘違いがあります。

「人間関係が出来ている」から多少のこと(暴言や無理難題を押しつける)は大丈夫という感覚です。

人間関係が出来ているかどうかは、双方の気持ちが一致することで成り立つわけですが、勝手な思い込みで人間関係が出来ているから多少のことは大丈夫だというのは大きな間違いです。

仮に人間関係が出来ていたとしても、パワハラ行為が許されるわけではありません。

管理職への研修を徹底すべき

人事決定権や人事評価権を持つ立場の人間が昔からの「根性論・精神論」から抜け出せていないのであれば、部下はたまったもんじゃありません。

パワハラについて相談したい、報告したいと思っても人事権を握っている上司に対してどうすることも出来ず、泣き寝入りせざるをえない人が多いのが現実です。

昔はこの育成法やマネジメント法で成果が出ていました。そしてこれが許されている時代でした。今後は間違いなく許されません。

外部企業の研修などを通じてマネジメント層の意識改革を行うことが必要でしょう。

体育会系企業は早急な変革が必要です。

まとめ

今までのマネジメントは楽だったように思います。

「やれ!」「成績出るまで帰ってくるな!」「とにかくやれ!」こんなマネジメントで成果が出せていたわけです。

こんなマネジメントなら小学生でも出来るレベルです。

これからはこういった指導自体が法令によって使えなくなります。

圧力で人を動かしてきた会社や人間は今後苦しくなることは避けれません。

これからは今まで以上に密なコミュニケーションが必要となります。

感情的な発言や圧力だけでは人は動かないこと、そして利己的な考えでは社員や顧客から信頼を得れないことを体育会系企業は今すぐ自覚し改善すべきです。

これで生産性が落ちる会社はそもそも存在価値が低いわけです。

社内の無駄なストレスが無くなり、顧客に全力で向き合える会社が増えることに期待です。