観光地や繁華街に行くと外国人観光客で溢れかえっている光景、コンビニや飲食店で外国人の従業員が働いている姿が日常となってきています。
今後も日本の観光や労働市場における外国人の存在は高まっていくでしょう。
また4月には外国人労働者に関する法案が新たに施行されます。
日本の労働市場の転換点となりそうです。
外国人労働者は10年間で3倍に拡大
厚生労働省によれば、外国人労働者は2018年10月末時点で146万人となりました。
これは届け出が義務化されて以降、過去最高です。
2008年は48万人だったので、10年間で約3倍に拡大しており、日本の雇用者全体に占める割合は約2.5%となっています。
人手不足の緩和に一定の役割を果たしています。
外国人労働者が増加した背景
外国人労働者が増えた背景には人手不足に対応するために、政府が推進している施策が挙げられます。
・高度外国人材の受け入れ
・留学生の受け入れ
・永住者や日本人の配偶者等の身分に基づく在留資格を持つ人の就労
・技能実習制度の活用
次に国籍別、産業別の詳しいデータを紹介します。
国籍別労働人口
・中国人 38.9万人
・ベトナム人 31.7万人
・フィリピン人 16.4万人
・ブラジル人 12.7万人
特にベトナム人については対前年同期比で 76581 人(31.9%)増加と大幅な伸びとなっています。
中国人が多いのは肌で感じていましたが、ベトナム人がこれだけ多いのは意外でした。
ベトナム政府は2017年6月に、技能実習生受け入れに関する日本政府との取り決めを他国に先駆けて締結しており、技能実習生送り出しに積極的な事が起因しています。
産業別人口
製造業が43.4万人ともっとも多く、全体の約3割を占めます。
近年増加率の高いのは、建設業、宿泊業、飲食サービス業、となっています。
改正出入国管理法とは
政府はこれまで、専門的・技術的分野の外国人労働者の受け入れを積極的に推進する一方で、いわゆる単純労働者の受け入れには慎重な姿勢でした。
それは、日本人の雇用への影響や、社会保障等の社会的コスト、治安など幅広い観点からの問題が理由です。
しかし、今後5年間で約145万人の深刻な人手不足が予想されるため、2019年4月より外国人が単純労働に就くことを認める法律、改正出入国管理法が施行されることになりました。
改正出入国管理法とは?
どんな特徴なのか
・特定技能1号、特定技能2号の2つの資格を新設
・1号は建設、介護、外食など14業種が対象
・技能試験と日本語能力試験に合格する必要
・在留期間は通算5年間
・政府は5年間で最大34万5150人の受け入れを想定
・2号は熟練した技術を持つ人で家族の帯同も認められ、在留資格も更新が可能
・1号を取得した後に2号を取得するといった形で日本への永住の道が開ける
考えられる課題とは
外国人労働者受け入れには様々な課題があります。
・国内の日本語教育が十分でない
・賃金の高い都市部に集まりやすく、地方に人が集まりにくい
・日本人と同等の賃金水準が守られるのか
また企業側による賃金の未払いや不当な搾取による問題も顕在化しています。
これに対し今年の3月に賃金の支払いに関して企業側は、原則として預貯金口座に報酬を払い、定期的に地方出入国在留管理局に賃金台帳の提出を義務付けられました。
これにより賃金の不払いや、不当な搾取を抑制されると期待されています。
貴重な戦力
人手不足をただ補うだけでなく、貴重な戦力として外国人労働者は活躍しています。
外国人観光客と接する業種で特に重宝されています。
例えば宿泊施設の接客です。
日本独自の雰囲気を味わうため旅館に泊まる外国人は急増しています。
料理を提供する際、日本人だと微妙なニュアンスが伝えられないところ、母国語を話す人がいる事で客も安心します。
生活文化、生活習慣を理解している母国の人がいる事で、細かいところに気を配れます。
より良いサービスが可能になります。
このように、今後もインバウンドが増える中で、外国人労働者を必要とする企業、活躍する機会はますます増えていくでしょう。
まとめ
政府は引き続き移民政策をとる考えはないと強調していますが、そうもいかないのが現状ではないでしょうか。
様々な問題はありますが、新しいテクノロジーと外国人労働者との共存により、新しいビジネスチャンスも増えていくでしょう。