今週、ソフトバンクグループの決算説明会が行われました。

今回は、孫正義さんのプレゼン力にスポットをあてて紹介します。

内容も、表現の仕方も、考え方も全てが参考になるプレゼンでした。

約1時間半でしたが、聞いていて何か1本の映画を見ているような感覚でした。

同じ内容の資料、言葉を使ってもあれほどのプレゼンは孫正義にしか出来ないと感じました。

プレゼン力があるというのは経営者にとって非常に重要です。

孫正義のプレゼンの仕方

プレゼンの冒頭

今回の決算説明会は冒頭このように始まります。

面白い写真を用意しました。

自然界には様々な摩訶不思議な現象があります。

黒板に数字が羅列しているものを出し、

数式
出典:https://cdn.group.softbank/corp/set/data/irinfo/presentations/results/pdf/2019/softbank_presentation_2019_003.pdf

何を表した公式だと思いますか?

複雑怪奇過ぎて意味がわからないですね。

複雑な物事をシンプルに言い表した人がいます。と言って、アインシュタインを紹介します。

次に、アインシュタインが表したシンプルな公式を出します。

公式
出典:https://cdn.group.softbank/corp/set/data/irinfo/presentations/results/pdf/2019/softbank_presentation_2019_003.pdf

自然界の物事を複雑怪奇にとらえるのではなく、シンプルにとらえる例として紹介します。

今から、複雑に見えるソフトバンクグループをシンプルに表現したい。と続きます。

この後、実際の数字を入れて説明が進みますが、冒頭のこの話があるのとないのとでは、聞こえ方が全く違ってきます。

わかりにくいことをわかりにくい言葉で、難しい数字だけ並べられるプレゼンは意味がなく、不親切です。

わかりにくいことは、わかりやすい言葉と数字でわかりやすく説明するというのは基本です。

冒頭のインパクトの重要性

また、冒頭のインパクトは非常に重要です。

特に初めてプレゼンを聞いてもらうときは、冒頭どういう入り方をするかでほとんど決まってしまいます。

冒頭に「面白そうだな」なのか「つまらなそうだ」とどちらで思われるかで、その後の内容が一緒でも聞いている側に感じ方は全く違ってきます。

プレゼンの中盤

馬車と自動車の話

また、約100年前のニューヨークで馬車から自動車へのパラダイムシフトが起きた話が出てきます。

パラダイムシフトのことをわかりやすく説明してくれています。

パラダイムシフトとは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することをいう。パラダイムチェンジともいう。


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

1900年のニューヨーク5番街の風景を出し、

ニューヨーク
出典:https://cdn.group.softbank/corp/set/data/irinfo/presentations/results/pdf/2019/softbank_presentation_2019_003.pdf

乗り物は全て馬車であるという説明があります。

次に、1913年のニューヨーク5番街の風景を出し、

ニューヨーク
出典:https://cdn.group.softbank/corp/set/data/irinfo/presentations/results/pdf/2019/softbank_presentation_2019_003.pdf

ほとんど車が走っている風景を出します。

1900年頃に馬車と自動車どちらの方がより価値がありますか?

と問えば答えはまちまちだったでしょう。

しかし、現代の人に問えば全員が自動車と答えるのは明らかでしょう。

このことを今の情報革命に置き換えて比較してくれています。

今、人間の脳とAIどちらの方がより価値がありますか?

と問えば答えはまちまちでしょう。

人間にしかない温かみがある。

AIがどこまで出来るかは未知数だ。

という意見もあるでしょう。

きっと100年前も馬車と自動車で同じような議論があったのではと想像できます。

しかし、たった13年でニューヨーク5番街の風景は事実一変してしまっています。

そして、将来2035年のニューヨーク5番街の予想される風景のCGが出ます。

ニューヨーク
出典:https://cdn.group.softbank/corp/set/data/irinfo/presentations/results/pdf/2019/softbank_presentation_2019_003.pdf

孫正義さんの予想では、2035年のニューヨーク5番街を走っている車は、95%が自動運転車だとのことです。

いかがでしたでしょうか?

最後の、将来2035年のニューヨーク5番街の予想される風景のCGだけで話しをされてもピンとこないかもしれません。

最初に過去に実際に起こったパラダイムシフトをわかりやすい事象で、目で見せることによって最後のCGの説得力が格段に増しました。

そのあと、さらにインターネットは、広告業界と小売業界を再定義しました。

AIは全ての産業を再定義していくという話に続いていきます。

プレゼンの最後

孫正義さんの思い

そして、最後に情報革命で全ての人々を幸せにしたいと言います。

最後のこの言葉は非常に納得できました。

「上場会社の社長だから株主価値を増やすのは当然の責務です。

しかし、それだけでは悲しい。

何の為に生まれてきたのか?

個人で使えるお金は、もう使いきれないほどある。

では、残りの人生は何の為にあるのか?

生まれてきた価値を追い求めている。

情報革命で人々に幸せになってもらいたい。

心の底から思っている。

人々の笑顔を見たい。

その為に生まれた。

それを見られれば自分は幸せになれる。」

孫正義さん以外の人が言うと綺麗事としか思われないかもしれません。

しかし、以前の記事で紹介したように、孫正義さんは日本一の資産家です。

私には、心の底から言っているように感じました。

まとめ

どんなに素晴らしいビジネスをしていても、プレゼンがうまくいかなくては台無しになってしまうこともあります。

知らない人に知ってもらうということは、わかりにくいものをわかりやすく説明する工夫をしなければなりません。

今回の決算説明会は非常に参考になると思います。