数年前から、人手不足が深刻だといわれ、日本ではそれが当たり前の状況になっています。

人手不足が深刻な業種としては、飲食・建設・介護・運輸などが代表的です。

それに対応するために、介護ロボット、パワースーツ、自動運転等の開発が進められており、既に実用化されたものも数多くあります。

ロボットといえば、機械が動いて作業をするというイメージが先行しますが、非製造業や人材管理の分野でもロボット(テクノロジー)を活用した動きが進んでいます。

その代表の一つがRPAです。

RPAとは?

RPA(Robotic Process Automation)とは、ロボットによる業務自動化の事で、主にバックオフィス業務の効率化、自動化の取組みの事です。

RPAの適用業務

・帳簿入力や伝票作成
・ダイレクトメールの発送業務
・経費チェック
・顧客データの管理
・ERP、SFA(営業支援システム)へのデータ入力
・定期的な情報収集

主に事務職の人たちが携わる定型業務があげられます。

特徴・メリット

・作業の品質を落とさず、比較的低コストかつ短期間で導入できる
・従業員の時間創出→生産性の向上
・作業ミスの削減

RPAの自動化レベル(クラス)

RPAには三段階の自動化レベル(クラス)があるとされています。

クラス1

現在のRPAの多くは「クラス1」で、情報取得や入力作業、検証作業などの作業定型業務に対応しています。

クラス2

「クラス2」は、AIと連携して、自然言語解析、画像解析、音声解析、マシーンラーニングの技術の搭載、非構造化データの読み取りや、知識ベースの活用などの、非定型業務でも一部は自動化されます。

クラス3

「クラス3」は、より高度なAIと連携することで、業務プロセスの分析や改善だけでなく意思決定までを自動化できます。


既に、クラス3において認識技術や自然言語解析技術、学習機能などにより曖昧な情報や不足している情報を補いながら作業する、これまでとは一線を画したRPAが開発されています。

日本語の対話ができるAIエンジンを活用し、対話をするだけで必要なデータの入力が完成し、全プロセスを完結することも可能とのことです。

導入事例

RPAの導入事例は、企業や自治体にも広がってきています。

茨城県つくば市

典型的で膨大な作業量の業務を抽出し、その中でRPAの導入効果が高いものに対して、実証を実施しています。

・年間約85時間 → 14時間に削減(約83%の削減)
 *異動届出受理通知業務
・入力ミスが減少
・職員は住民サービスに集中できるように

金融業界

煩雑で定型的な事務業務が多い金融業界で先行して導入されました。

メガバンク

・三菱UFJFG:2018年度から6年間で、約2000業務を自動化。住宅ローン必要書類の記載不備を自動点検

・三井住友FG:2020年3月までに、年300万時間分の業務削減。顧客データを営業担当者に自動送信

業種を問わず多くの企業・団体に導入されつつあります。

このように、RPAを導入した事で、大きな成果が出ています。


2025年までに事務的業務の3分の1の仕事が、RPAに置き換わる可能性があるといわれています。

不安の声

RPAの恩恵を受けるのは、紛れもなく企業自身です。

社員も他の業務に時間を使えるようになる事は事実ですが、メリットの方が大きいのでしょうか?私は、そうは思えません。

例えば、大手企業になるほど、過去の大量採用の歪みが大きく出てきます。

昨年、メガバンクが採用人数を抑制すると発表した事が話題になりました。

10年間で2万6000人の人員を削減する計画です。加えて業務の配置転換を行う事も発表されています。
これはリストラを行うのではなく、新規採用を減らし、退職と出向の自然減で実現させていく数字となっています。

バックオフィスを中心に、今までのような人員は必要なくなる事を意味しています。バックオフィス畑を渡り歩いてきた人間は戦々恐々としているでしょう。

削減した時間を他の業務にあてると言われていますが、他の業務とはおそらく営業や窓口での対人業務です。

何十年と、社内の人間を相手に仕事をしてきた人が、いきなり営業や店頭業務で成果を出せるでしょうか?


相当厳しい現実が待っているはずです。

まとめ

前述した内容は、序章にすぎないでしょう。
会社の利益に貢献出来ない社員には、大幅な給料カット、リストラが現実になる日がそう遠くない将来やってくると思います。

自分の仕事に置き換えて、これから起きる大きな変化に、自分自身がどう変わっていくかを、具体的に行動に落とし込まなくてはいけません。

大事な事は「いつか変わる」ではなく「今から変わる」事です。

参考 総務省 RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)