サブスクリプション(サブスク)が近年バズワードとなっています。
しかしサブスクは最近になって新たに誕生したビジネスモデルではありません。
それなにのになぜ今、サブスクが注目され盛り上がっているのでしょうか。
サブスクリプション(subscription)とは
製品やサービスなどの一定期間の利用に対して、代金を支払う方式。
コトバンク
と定義されています。他にも新聞や雑誌の定期講読、予約購読といった検索結果が出てきます。
私は十年以上前から新聞を定期講読していますが、これは単なる定額制のサービスです。
一方で近年注目されているサブスクとは、テクノロジーを活用することにより、顧客のニーズに応じた商品やサービスを提供しています。
いかに顧客と良好な関係を長期的に保てるのかが成功の鍵を握ります。
「所有」から「利用する」へ
なんと言っても、サブスクが盛り上がる理由の背景は消費者の志向が変化していることにあります。
「所有から利用する」への変化です。
若者の車離れが象徴するように、物を所有することに対し、価値を感じなくなっています。
例えば車。
購入費が高い、平日は乗らない、駐車場代が高い、保険代や車検代が高いといった考えの若者が増えており、購入するより、カーシェアやレンタカーで十分だという考え方です。
私達の同世代(ミレニアル世代)は、ものへの愛着心が私達の上の世代に比べて薄れているのかもしれません。
最近では車だけでなく、家電や家具、洋服やカバンなど、あらゆる消費に対して、この考え方が広がっているのです。
これに伴い、企業側も対応に乗り出しました。
商品を売る(売り切り)から商品の利用を通じてサービスを売ることに戦略をシフトし始めています。
サブスクは単なる定額制ではない
サブスク企業が求められるのは常に顧客満足度を実現させるために、継続的な試作を打ったり、既存サービスをアップデートすることです。
シェアやレンタルとの違いは?
シェアやレンタルでは利用した量や時間で料金が決まりますし、顧客との関係をみても、常にニーズに対し変化出来るという点ではサブスクより劣ってしまいます。
AIを駆使する
世界的なサブスク企業は顧客の好みやニーズをAIで分析し、最適な商品やサービスを提供しています。
これによりユーザーの探す負担が減り、顧客ニーズに応じたサービスが提供され高い利便性を提供しているのです。
成功例としては動画配信大手のNetflixが挙げられます。
コンテンツ製作力に加え、AIを駆使し最適なドラマや映画を提案するレコメンデーション機能がそれにあたります。
世界で1億人を超える契約者の視聴データをAIが分析しているからこそ、このサービスが機能しているのです。
サブスクでは料金プランが複数用意されています。
ベーシックプランや、ゴールドプラン、休止プランなど選択することが可能です。
ニーズ応じた選択肢を提供することが顧客との強い関係を継続させるポイントになります。
トヨタ・ソニーもサブスクに参戦
昨年トヨタ自動車が日系自動車メーカーとして初めてサブスクに参入することを発表しました。
サービス名は「KINTO(キント)」。
高級車種のレクサスを含むトヨタ車を乗り換えることが可能となります。
料金の中に、保険料や車両メンテナンスもパッケージ化されます。
ライフスタイルに応じて、車種を選択出来ることが強みです。
子育て中はスライドドア使用の車だったり、子育てが終わったら走行性やデザインを重視した車を選択するなどです。
その他にも様々な手間やコストに悩んでいる人にマッチするサービスです。
ソニーのハイブリッドモデル
ソニーが提供するサブスクで業績を牽引しているのは、ゲーム事業です。
ソニーの代表ゲーム機といえばプレイステーション4。
プレイステーション4本体(ハード)自体の販売は頭打ちとなっている中、サブスクリプションサービスが絶好調です。
「PSプラス」「PSナウ」に加入すると、オンラインで別のユーザーと遊べる、月ごとに配信される約10本のタイトルが遊び放題、自分で選んだタイトルが遊び放題になります。
またスポティファイなどの他社との提携により、音楽、ビデオ、テレビ配信などのサービスも楽しめます。
サブスクの潮流は、「所有せずにサービスとして利用する」ことですが、ソニーの場合は本体(ハード)を購入しなくてはいけません。
それでも大きな成功を納めているのは、サービス自体に大きな付加価値を提供出来ている点にあります。
サブスク成功への秘訣
サブスクが注目され導入する企業が増える一方で、思ったような成果が出ず、撤退する企業も少なくないです。
明暗がはっきりと分かれています。
アメリカにおいてはサブスクブームが一巡していて、投資先の整理が始まっているそうです。
サブスクで成功するための大原則
①顧客獲得コストを低くする
②解約率を低く抑える(継続的に利用してもらう)
③初期投資の回収期間の短縮化
④顧客単価を上げるための施策(アップセル・クロスセル)
上記の4つをクリア出来るかどうかが明暗を分けます。
まとめ
当たり前だったことが、当たり前ではなくなる。この変化に対応することは容易ではありません。
永遠のベータ版といわれてるサブスクは変化していくことが前提のビジネスモデルであるため、今の時代に合ったビジネスモデルであるといえます。
その中でユーザーが有利に立てるサービスが、数年後は生き残っているはずです。
サブスクに限らず、各業界や企業もユーザーファーストに立ち返り、初心を振り返ってみてはと思います。