今の大学生は、就職の際、自分の成長が期待できる会社なのかを重視しているようです。

知名度や、目先のお金をそれほど重要視していません。

終身雇用の不安を感じているからでしょうか。

今年の2月10日のニュースです。

「リクルートキャリア」が今春就職予定の大学生に入社先を確定する決め手を複数回答で尋ねたところ「自分の成長が期待できる」との答えが47.1%で最多だった。

次に多いのは「福利厚生や手当が充実している」の37.8%。「希望の地域で働ける」37.0%が続いた。

引用 47NEWS

私が最も注目したのは、3番目に回答が多かった「希望の地域で働ける」という理由です。

これは今の学生に限った話ではなく、現社会人(特に若い世代)にも共通した考えであり、昔に比べ、かなり多くなっているように私は感じています。

「都会で暮らしたい・故郷で暮らしたい」という理由に加えて、「時代の変化」が「心境の変化」に繋がってきているのだと思います。

それは、介護や育児に加え、共働き世帯が増加してきた事で、夫婦どちらかの転勤によって、人生設計や、家庭環境が大きく変わる事への不安が、今まで以上に増している事が背景にあると推測します。

転勤制度は、この不安を助長しています。

アメリカでは日本のような転勤制度はありません。日本特有の制度です。

はたして転勤制度は必要なのでしょうか?

何故転勤させるのか?

就職をする際に、転居を伴う転勤がある会社(または職種)なのかを自身で選択しなくてはいけません。ほとんどの企業には転勤制度があります。

代表的な転勤の理由を挙げ、それぞれについて考察していきます。

①癒着の抑止

一定の効果はあると思います。しかし、これは後ろ向きな発想です。
転勤が癒着を防ぐ根本的な対策でしょうか?
社内の監視、管理体制を構築する事で対策が出来るはずです。

②人材の育成

転勤先では、社内・社外の人間関係をイチから構築していくため、適応力が鍛えられるとは思います。しかし、適応するまでのストレスは大きく、時間も要します。
全く違う業務内容であれば話は違いますが、同じ業務内容を引き継ぐだけの転勤の場合、成長は限定的だと思います。

③人材の需給調整

短期間に多くの退職者が出たり、新規出店をする際には、仕方のない理由かとは思います。
ただしこれはイレギュラーなケースであり、転勤を常態化する理由にはならないでしょう。
高度経済成長期には、たくさんの企業が拡大戦略をとっており、新規出店の際には優秀な人材を送り込んでいました。

この慣習が現代に至るまで残っているのです。

今後求められる人事制度とは?

希望を出せば、転勤を伴わない職種に変更する制度を用意している会社もありますが、弊害となっているのは、転勤を伴わない職種だと会社に評価(昇進・給料)されにくい人事評価体系がある事です。

転勤=キャリアという考え方ですが、転勤を伴わない職種の人間でも、優秀な人材はたくさんいます。

転勤者=優秀 という考えを、改めるべきではないでしょうか。

一方で転勤を好む人間もいます。

各地を転々とする事や、新しい人間関係・環境を好むといった理由からです。

また、スキルアップのために、違う部署での仕事を望む人もいます。

公募制を導入して、希望する人だけを転勤の対象にすれば良いでしょう。

また優秀な人間をどうしても転勤させたい時には、社員の意向と会社側の要望を話し合う機会を設けるべきです。

まとめ

私も過去数回、転勤を経験しています。
会社での人間関係はもちろんですが、知り合いが一人もいない事や、知らない土地に移る事は、相当なストレスです。


そして家族にも大きな負担をかけます。

また、転勤がある事を前提とする仕事は、顧客のために寄り添う姿勢に欠ける人間がいるように感じています。

それは自分が在任している間(短期間)に成果をコミットしよういう発想を持ってしまうからです。
極端な言い方をすれば、自分のいる時だけよければいい・その後の事はどうでもいいという考えです。

転勤制度を見直す事で、長期間同じ場所にいる事が前提になり、より真剣にクライアントに寄り添った行動を伴うようになるはずです。